さんはあしわるいせいで体操たいそう授業じゅぎょうにはほとんどなかった。ハイキングや山登やまのぼりのには学校がっこうやすんだ。なつ水泳すいえい合宿がっしゅくみたいなものにもなかった。運動会うんどうかいにはいささか居心地いごこちわるそうだった。でもそのようなあいべつにすれば、彼女かのじょはごくつう小学生しょうがくせい生活せいかつおくっていた。

かのじょぶんわるあしだいにすることはほとんどなかった。ぼくおぼえているかぎりではたぶんいちもなかった。ぼく一緒いっしょこうするときでも、「あるくのがおそくて御免ごめんなさい」というようなことはけっしてくちにはしなかったし、かおにもさなかった。

しかし彼女かのじょぶんあしについてにしていること、にしているからこそれないようにしているのだということはぼくにはよくわかっていた。彼女かのじょにんいえあそびにくことをあまりこのまなかったが、それは玄関げんかんくつがなくてはならないからだった。

かのじょくつみぎひだりすこしかたちやそこあつさがちがっていて、彼女かのじょはそれを他人たにんにさらすのがいやだったのだ。おそらくそれは特別とくべつつくられた種類しゅるいくつなのだとおもう。ぼくがそれにづいたのは、彼女かのじょぶんいえかえると、なによりもさきくつをすぐに下駄げたばこにしまいこむのをにしたときだった。

しまもとさんのいえ居間いまには新型しんがたのステレオそうがあって、ぼくはそれをくためによく彼女かのじょいえあそびにった。それはかなり立派りっぱなステレオそうだった。もっとも彼女かのじょ父親ちちおやのレコード・コレクションはそのそうほどには立派りっぱなものではなく、そこにあったLPレコードのかずはせいぜいじゅうまいくらいだったとおもう。

そしてその大半たいはん初心者しょしんしゃけのライト・クラシック音楽おんがくだった。でもぼくらはそのじゅうまいほどのレコードをなんなんかえしていた。だからぼくはそれらの音楽おんがくいまでも、それこそすみからすみまでくっきりとおもすことができる。

レコードをあつかうのは島本しまもとさんのやくだった。レコードをジャケットからし、みぞゆびれないようにりょうでターンテーブルにせ、ちいさな刷毛はけでカートリッジのごみをはらってから、レコードばんにゆっくりとはりをおろした。

レコードがわると、そこにほこりりのスプレーをかけ、フェルトのぬのいた。そしてレコードをジャケットにしまい、たなのもとあったしょもどした。

かのじょ父親ちちおやおしえこまれたそんな一連いちれんぎょうを、ひとつひとつおそろしく真剣しんけんかおつきで実行じっこうした。ほそめ、いきさえひそめていた。ぼくはいつもソファーにこしけて、彼女かのじょのそのような仕種しぐさをじっとながめていた。

レコードをたなもどしてしまうと、島本しまもとさんはやっとぼくほういて、いつものようにちいさく微笑ほほえんだ。そのたびにぼくおもったものだった。彼女かのじょあつかっていたのはただのレコードばんではなく、ガラスびんなかれられただれかのもろたましいのようなものではなかったのだろうかと。

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